docker buildx build¶
補足説明¶
buildx build
コマンドは BuildKit を使って構築を開始します。このコマンドは docker build
コマンドの見た目と似ており、いくつかのフラグや引数が同じです。
ほとんどのフラグに関するドキュメントは docker build のドキュメント をご覧ください。ここでは新しいフラグのサブセットを説明します。
コマンドの使用例は、以下の 使用例のセクション をご覧ください。
オプション¶
名前, 省略形 |
デフォルト |
説明 |
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任意のホストに対し IP を割り当てを追加(書式: |
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構築時の変数を設定 |
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外部キャッシュのソース(例: |
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外部キャッシュの宛先(例: |
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コンテナに対する任意の親 cgroup |
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構築コンテクストを gzip を使って圧縮 |
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CPU CFS (completely Fair Scheduler)期間を制限 |
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CPU CFS (completely Fair Scheduler)クォータを制限 |
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CPU |
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アクセスを許可する CPU を指定( 0-3, 0, 1 ) |
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アクセスを許可するメモリノードを指定( 0-3, 0, 1 ) |
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Dockerfile の名前(デフォルトは |
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中間コンテナを常に削除 |
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イメージ ID をファイルに書き込む |
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コンテナ分離技術 |
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イメージにメタデータを設定 |
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メモリの上限 |
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スワップの上限は、メモリとスワップの合計と同じ: |
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構築結果のメタデータをファイルに書き込む |
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構築中の RUN 命令で使うネットワークモードを指定 |
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イメージの構築時にキャッシュを使用しない |
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アウトプット先を指定(書式:type=local,dest=path) |
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サーバがマルチプラットフォーム対応であれば、プラットフォームを指定 |
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進行状況の出力タイプを設定(auto、plain、tty)。plain を使うと、コンテナの出力を表示 |
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イメージは、常に新しいバージョンのダウンロードを試みる |
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構築時の出力と成功時のイメージ ID 表示を抑制 |
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構築に成功後、中間コンテナを削除 |
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構築時に利用するシークレットファイル(書式: |
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セキュリティのオプション |
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構築するレイヤを、単一の新しいレイヤに |
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構築時に利用する SSH エージェントのソケットやキー(書式: |
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名前と、オプションでタグを |
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構築する対象の構築ステージを指定 |
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ulimit オプション |
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ビルダー・インスタンス設定を上書き |
使用例¶
builder 対象の設定を上書き (--builder)¶
buildx --builder
と同じです。
構築対象のプラットフォームを指定¶
--platform=value[,value]
構築対象のプラットフォームを指定します。Dockerfile 内にある全ての FROM
命令は、 --platform
フラグがなければ、自身のプラットフォーム用のイメージを取得します。そして、最終的なイメージのプラットフォームも自身のものとなります。デフォルトの値は、buildkit デーモンが動作しているプラットフォームです。
buildx
で docker-container
ドライバを使う場合は、フラグに対してカンマ区切りで複数の値を指定できます。複数の値を指定した結果は、指定したプラットフォームすべてに対して構築し、1つのマニフェストリストに連結します。
Dockerfile
で RUN
命令を実行する必要がある場合、ビルダは指定したプラットフォーム用のランタイムをサポートする必要があります。クリーンセットアップの場合、ビルダは自らのシステムアーキテクチャ用のランタイムのサポートが必要です。カーネルが binfmt_misc ランチャーをセカンダリ・アーキテクチャとしてサポートしている場合、buildx はそれらを自動的に対応します。Docker デスクトップ版は binfmt_misc
を備えており、 arm64
と arm
アーキテクチャに自動的に対応しています。現在のビルダ・インスタンスが対応しているランタイム・プラットフォームを確認するには、 docker buildx inspect --bootstrap
を実行します。
Dockerfile
内では、 ``TARGETPLATFORM `` build 引数よって現在のプラットフォーム値を取得できます。自動プラットフォーム引数の種類は、 docker build ドキュメント をご覧ください。
プラットフォームの指定形式は containerd ソースコード で定義されています。
進捗の出力形式を指定(--progress)¶
--progress=VALUE
進捗の出力形式を指定します( auto、plain、tty)。plain を使うとコンテナの出力を表示します(デフォルトは auto
)。
注釈
値を指定するには、BUILDKIT_PROGRESS
環境変数の値も利用できます。
以下は、構築中に plain
出力を使う例です。
$ docker buildx build --load --progress=plain .
#1 [internal] load build definition from Dockerfile
#1 transferring dockerfile: 227B 0.0s done
#1 DONE 0.1s
#2 [internal] load .dockerignore
#2 transferring context: 129B 0.0s done
#2 DONE 0.0s
...
構築結果の出力方法を指定(-o, --output)¶
-o, --output=[PATH,-,type=TYPE[,KEY=VALUE]
build 結果の出力処理を設定します。 docker build
で全ての構築が終わると、コンテナのイメージを作成し、それを docker images
に出力します。 buildx
ではこの手順が設定できるようになっており、処理結果を直接クライアントや、oci イメージ・tar ボールやレジストリ等に出力できます。
Buildx の docker
ドライバが現時点でサポートしているのは、 local 、 docker-container
ドライバは全てのエクスポータをサポートします。
値にパスを指定した場合には、 buidx
は buildx
は tar
エクスポータを使い stdout
に書き出します。
使用例
$ docker buildx build -o . .
$ docker buildx build -o outdir .
$ docker buildx build -o - - > out.tar
$ docker buildx build -o type=docker .
$ docker buildx build -o type=docker,dest=- . > myimage.tar
$ docker buildx build -t tonistiigi/foo -o type=registry
サポートしているエクスポータは以下の通りです。
local
¶
local
エクスポート型は、全ての結果をクライアント上のディレクトリにあるファイルへ書き出します。新しいファイルの所有者は現在のユーザになります。マルチプラットフォーム・ビルドでは、各プラットフォーム用のサブディレクトリに結果が出力されます。
属性のキー:
dest
- ファイル出力先のディレクトリ
tar¶
tar
エクスポート型は、全ての結果をクライアント上の tar ボールに書き出します。マルチプラットフォーム・ビルドでは、各プラットフォーム用のサブディレクトリに結果が出力されます。
属性のキー:
dest
- tar ボール出力先のディレクトリ。-
は標準出力に書き出す
oci
¶
oci
エクスポート型は、全ての結果をクライアント上の OCI イメージ・レイアウト に書き出します。
属性のキー:
dest
- tar ボール出力先のディレクトリ。-
は標準出力に書き出す
docker
¶
docker
エクスポート型は、特定のプラットフォームに対する Docker イメージ仕様 のイメージとしてクライアント上に書き出します。このエクスポータによって作成される tar ボールは、 OCI 互換性もあります。
現時点では、マルチプラットフォーム・イメージは docker
エクスポート型はでは出力できません。マルチプラットフォーム対応イメージの最も一般的な利用方法は、レジストリに直接送信する場合です( registry をご覧ください。)。
属性のキー:
dest
- tarボール出力先のパス。このパスの指定が無い場合、tar は現在の Docker インスタンスへ自動的に読み込むcontext
- 結果をインポートする docker コンテクスト名です
構築結果をレジストリに送信(--push)¶
--output=type=registry の省略形です。構築結果をレジストリに自動送信します。
単一プラットフォームの構築結果を docker images
に読み込む(--load)¶
--output=type=docker の省略形です。単一プラットフォーム向けの構築結果を docker images
に読み込みます。
構築用に外部のキャッシュソースを使用(--cache-from)¶
--cache-from=[NAME|type=TYPE[,KEY=VALUE]]
構築用に外部のキャッシュソースを使います。サポートしている型は registry
、 local
、gha
です。
registry
… registry ソース は、キャッシュ・マニフェストやレジストリ上の(特別な)設定からキャシュを取り込めます。local
… local ソース は、以前に--cache-to
で出力済みのロールファイルから、キャッシュを取り込めます。gha
… gha ソース は、以前に--cache-to
で GitHub リポジトリに出力済みのキャッシュから、キャッシュを取り込めます。
型(タイプ)を指定しなければ、 registry
エクスポータが指定された参照先として使われます。
docker
ドライバでは、現時点でサポートしているのは、レジストリからの構築キャッシュ取り込みだけです。
使用例¶
$ docker buildx build --cache-from=user/app:cache .
$ docker buildx build --cache-from=user/app .
$ docker buildx build --cache-from=type=registry,ref=user/app .
$ docker buildx build --cache-from=type=local,src=path/to/cache .
$ docker buildx build --cache-from=type=gha .
キャッシュエクスポータと利用可能な属性については、こちらをご覧ください:https://github.com/moby/buildkit#export-cache
構築キャッシュを外部のキャッシュ先へ出力(--cache-to)¶
--cache-to=[NAME|type=TYPE[,KEY=VALUE]]
外部のキャッシュ先に構築キャッシュを出力します。サポートしている型は registry
、 local
、 inline
、 gha
です。
registry
… registry 型 は、構築キャッシュをレジストリ内のキャッシュ・マニフェストに出力します。local
… local 型 は、クライアント上のローカルディレクトリへキャッシュを出力します。inline
… inline 型 は、イメージ設定内部のキャッシュ・メタデータに出力します。gha
… gha 型 は Github Actions Cache service API を通してキャッシュを出力します。
docker
ドライバが現時点でサポートしているのは、イメージ設定内部のキャッシュ・メタデータに直接(インラインに)出力するだけです。別の方法として、 --build-arg BUILDKIT_INLINE_CACHE=1
をインライン・キャッシュ・エクスポータのトリガとして使えます。
属性のキー:
mode
… キャッシュがどれだけのレイヤに対応するかを指定します。min
は最終構築ステージのレイヤのみ出力します。max
は全ステージのレイヤを出力します。メタデータは構築全体を通し、常に出力します。
使用例¶
$ docker buildx build --cache-to=user/app:cache .
$ docker buildx build --cache-to=type=inline .
$ docker buildx build --cache-to=type=registry,ref=user/app .
$ docker buildx build --cache-to=type=local,dest=path/to/cache .
$ docker buildx build --cache-to=type=gha .
キャッシュ・エクスポータと利用可能な属性については、 https://github.com/moby/buildkit#export-cache をご覧ください。
拡張特権資格 を許可(--allow)¶
--allow=ENTITLEMENT
network.host
… ホストネットワーク機能の実行を許可します。security.insecure
… サンドボックス無しでの実行を許可。 関連する Dockerfile 拡張 をご覧ください。
資格の有効化には、 buildkit
デーモンも --allow-insecure-entitlement
を許可する必要があります( create --buildkit-flags をご覧ください)。
/dev/shm
の容量(--shm-size)¶
書式は <数値><単位>
です。 数値
は 0
より大きい必要があります。単位はオプションで指定でき、 b
(バイト)、 k
(キロバイト)、 m
(メガバイト)、 g
(ギガバイト)が使えます。単位を省略すると、システムはバイトとして扱います。
ulimit の設定(--ulimit)¶
--ulimit
は <type>=<ソフトリミット>[:<ハードリミット>]
です。以下は例です。
$ docker buildx build --ulimit nofile=1024:1024 .
注釈
hard limit
を指定しない場合、 soft limit
が両方の値として用いられます。 ulimits
の指定が無ければ、デーモン上のデフォルト ulimits
を継承します。
関連コマンド¶
コマンド |
説明 |
---|---|
ファイルから構築 |
|
構築開始 |
|
新しいビルダー・インスタンスを作成 |
|
ディスク使用量 |
|
レジストリにあるイメージを操作するコマンド |
|
現在のビルダー・インスタンスを調査 |
|
ビルダー・インスタンス一覧 |
|
構築キャッシュの削除 |
|
ビルダー・インスタンスの削除 |
|
ビルダー・インスタンスの停止 |
|
現在のビルダー・インスタンスを設定 |
|
buildx バージョン情報を表示 |
参考
- docker buildx build
https://docs.docker.com/engine/reference/commandline/buildx_build/